一味違う、三島由紀夫、と聞いて。

音声と文字で解説するので、お好みの方でどうぞ!!
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三島由紀夫を読んだことがなかった
一度は読んでみたい、と思っていたのですが、どうも読む気にならない。
なんとなく、表紙を開くのが重かったのです。
「文豪・三島由紀夫」という名前だけで、こちらもそれなりの覚悟を持って読まなければならないような気がする。
途中で意味がわからなくなって、「やっぱり私には文学はわからない」と本を閉じる未来まで想像できる。
そんなとき、
「三島由紀夫だけど、これは読みやすいよ!」
とおすすめいただいたのが『レター教室』でした。
「レター教室」と聞くと手紙の書き方の教室なのかな?と思ったのですが、
どうやら、手紙形式の小説のようなのです。へぇ!!構成が気になります!
どれどれ・・・どんな手紙が書いてあるのだろう・・・・
実際、目次には、
「古風なラブ・レター」
「借金の申し込み」
「処女でないことを打ちあける手紙」
「同性への愛の告白」
「恋敵を中傷する手紙」
「心中を誘う手紙」
「姙娠を知らせる手紙」
「裏切られた女の激怒の手紙」
などなど。
……全然、穏やかな手紙ではありません。
恋をしたり、フラれたり、お金を借りたり、断られたり、相手を騙したり、怒ったり、探ったり。
職業も年齢も違う5人の登場人物が、手紙だけで人間関係をどんどんこじらせていきます。
三島由紀夫のほかの文学作品とはまったく違う、と評される本作。
とにかく、人間観察が痛快です。
手紙の語り口から、それを書いている人間の性格や思惑、強がりや弱さが見えてきます。
人間の切なさと面白さが存分に描かれていて、姿かたちが書かれているわけでもないのに、手紙を読んでいるだけで人物が生き生きと浮かび上がってくる。
読んでいて、「三島由紀夫って、本当に人が好きで、人間に興味があった作家さんだったのだなぁ!」
と思いました。
この本に登場する人たちは、実際にお会いしたら、おそらくちょっと粘着質だったり、
個性が強すぎたりして、世の中から少し浮いてしまうような人たちばかりなのかもしれません。
でも、だから面白い。
にんげんだもの、が詰まってる1冊
人には、どうしようもないところがあります。
本人だってわかっているのに変えられなかったり、格好悪いことをしてしまったり、誰かを好きになりすぎたり、意地を張ったり。
そういう「どうしようもない、変えられない本質」が、この本にはたくさん出てきます。
それを善いとか悪いとかで片づけるのではなく、
「人間って、こういうところがあるよね」
と、いろいろな方向から眺めている。
そこが私はとても好きでした。
私も、人を一方向から決めつけるのではなく、多方向から眺めながら、その人の面白さや、
どうしようもなさまで含めて、いろいろなことを味わっていきたいなぁと思わせてくれる一冊でした。
本自体もそれほど厚くなく、軽やかで、明るく読めます。
「三島由紀夫、一度読んでみたいんだけど、なんとなく重そう……」
と思っている方にもおすすめです。

三島由紀夫の一冊目に、ぜひ。
そして、次こそは「ザ・三島由紀夫」な本に挑戦してみたいと思います。


