自分だけの「チートアイテム」を探す
― 正攻法だけで、この世界を攻略する必要はない ―
努力するのは良い。
毎日の中から気づきを見つけるのも良い。
考えるだけでなく、行動するのも良い。
自分一人の限界を知り、人を動かす力を身につけるのも良い。
AIを使うのも良い。
さらに言えば、AIを使いこなせる人を仲間にして、自分は「考えること」と「判断すること」に集中するのも良い。
どれも間違っていない。
でも最近、もっと安易に考えてもいいんじゃないかと思っています。
もし、この世界を歩いている自分自身が、ゲームの主人公だったとしたら。
毎日経験値を稼ぎ、レベルを一つずつ上げて、正攻法で敵を倒していく。
それもいい。
でも、できることなら、
「自分だけが使えるチートアイテムを手に入れて、一気に攻略したくないか?」
私は、そう思うのです。
どこかに「反則級の武器」はないだろうか
ゲームには、ときどき異常に強いアイテムがあります。
攻撃力が何倍にもなる剣。
持っているだけで経験値が増える装備。
何時間もかかる移動を、一瞬で終わらせる道具。
それを手に入れた瞬間、昨日まで苦戦していた相手を簡単に倒せるようになる。
そんなものが現実にもあるなら、使わない手はありません。
特別な資格かもしれない。
潤沢な資金かもしれない。
新しい技術や、最新のツールかもしれない。
だから私たちは、つい外を探します。
「次に来るものは何だ」
「何を手に入れれば勝てるんだ」
「どんな武器を装備すれば、一気に先へ行けるんだ」
もっと強い武器はないか。
もっと簡単に前へ進める方法はないか。
私も、そんなことを考えます。
AIですら、やがて「みんなの武器」になる
その意味では、AIはかなりチートアイテムに近い。
調査する。
文章を書く。
画像をつくる。
数字を分析する。
企画を考える。
以前なら何時間も、場合によっては何日もかかっていたことが、驚くほど短い時間でできるようになりました。
初めて使ったときには、
「これは反則だろう」
と思った人も多いでしょう。
ところが、問題があります。
誰でも使える。
みんなが同じ武器を持った瞬間、それはもう「自分だけのチート」ではありません。
強力ではある。
でも、それだけでは自分だけの優位にはならない。
これはAIに限りません。
外から簡単に買えるもの。
検索すれば誰でも手に入れられる情報。
お金を払えば誰でも使えるサービス。
こうしたものは、一時的には差を生んでも、やがて他の人も持ち始めます。
では、
本当に「自分だけのチートアイテム」なんて存在するのでしょうか。
探していたものは、もう持っていた
ここで、少し考え方を変えてみます。
新しい武器を探すのではなく、
自分がすでに持っているものを並べてみる。
これまで身につけてきた専門知識。
仕事で積んだ経験。
人脈。
少しずつ築いてきた信用。
自分だけが知っている土地や業界のこと。
技術。
性格。
失敗した経験。
これまでつくってきたもの。
お客様との関係。
どれも、一つだけを見れば大したものではないかもしれません。
だから、自分では気づきにくい。
「こんなの普通だろう」
と思ってしまう。
でも、違う。
チートだと思って外に探しに行ったものは、ずっと自分の持ち物の中にあった。
ただ、自分ではそれを「普通」だと思っていたから、武器だと気づかなかったのです。
希少なのは「能力」ではなく「組み合わせ」
文章を書ける人は、たくさんいます。
営業ができる人もいる。
AIを使える人も、これからますます増えていく。
一つの能力だけで見れば、自分より優れた人はいくらでもいるでしょう。
大切なのは、
組み合わせです。
たとえば、
文章力 × 営業力 × AI
一つひとつなら珍しくない。
しかし、この三つを高い水準で組み合わせられる人となれば、一気に少なくなります。
あるいは、
専門知識 × 地域との関係 × 信用
これも一つひとつは、特別ではないかもしれない。
でも、長い時間をかけて築いた三つを同時に持っている人は、簡単には見つかりません。
人はそれぞれ、歩いてきた道が違います。
会ってきた人も違う。
失敗したことも違う。
働いてきた場所も違う。
学んできたことも違う。
だから、
一つひとつは普通でも、それを組み合わせた瞬間に、他人にはコピーしにくいものになる。
世界一の文章力がなくてもいい。
世界一の営業力がなくてもいい。
一つの能力で世界一になる必要はない。
自分の組み合わせで、自分にしか立てない場所をつくればいい。
そこに、自分だけのチートアイテムが生まれます。
では、どうやって見つけるのか
ここで一つ問題があります。
自分の強みは、自分では案外分かりません。
なぜなら、
自分にとっては簡単だからです。
何度も頼まれているのに、
「こんなの誰でもできるでしょう」
と思っている。
人から評価されているのに、
「別に大したことじゃない」
と流している。
だったら、「自分の強みは何だろう」と頭の中だけで考えるのを、一度やめてみる。
代わりに、
自分の過去の履歴を見る。
何度も頼まれてきたことは何か。
なぜか紹介されるのは、どんなことか。
「あなたはこれが速い」と言われたことは何か。
実際にお金を払ってもらえたものは何か。
自分では普通なのに、何度も褒められたことは何か。
ここで見るべきなのは、自分の評価ではありません。
他人が、自分に対して実際に起こした行動です。
頼んだ。
紹介した。
お金を払った。
褒めた。
そして、また頼んだ。
そこには、自分では気づかなかった価値の痕跡が残っています。
自分のチートアイテムを見つけるなら、自分の頭の中だけではなく、これまで周囲の人が自分をどう使ってきたかを見る。
そこにヒントがあります。
それは本当に「チートアイテム」なのか
では、見つけたものが本当に自分の武器になるのか。
私は四つの条件で考えてみたいと思います。
一つ目。すでに持っている、あるいは他人より育てやすい。
ゼロから習得するものではなく、すでに自分の中に種がある。
二つ目。その組み合わせを、他人が簡単には再現できない。
一つの能力ではなく、自分が歩いてきた時間そのものが参入障壁になっている。
三つ目。使えば使うほど価値が増える。
仕事をするほど経験が増える。
実績が増える。
信用が増える。
人との関係が増える。
使うほど、その武器自体が強くなる。
四つ目。別の力と組み合わせると、さらに強くなる。
人と組む。
AIと組む。
新しい経験と組む。
一つの武器が、別の武器とつながることで、さらに大きな力になる。
この四つを満たすものなら、簡単には奪われません。
そして時間が経つほど、他人との差が開いていきます。
チートだと思って探したものが、いちばん地味なものだった
結局、少し皮肉な話です。
楽に勝てる方法が欲しくて、チートアイテムを探し始めた。
もっと新しいもの。
もっと強いもの。
もっと特別なもの。
でも、探していった先で見つかったのは、
自分がこれまで会ってきた人だったりする。
何年も続けてきた仕事だったりする。
何度も失敗した経験だったりする。
少しずつ積み上げてきた信用だったりする。
自分では大したことがないと思っていた能力だったりする。
チートだと思って探していたものが、実はいちばん地味な資産だった。
努力を否定したいわけではありません。
むしろ逆です。
同じ努力をするなら、自分が圧倒的に有利な場所で努力したい。
苦手な場所で、他人と同じ武器を持って、同じルールで消耗し続ける必要はない。
自分がこれまで集めてきたものを使えばいい。
新しい武器を探す前に、一度、自分の持ち物を全部広げてみる。
単体で評価する必要はありません。
組み合わせてみる。
掛け合わせてみる。
そして考える。
「この組み合わせを持っている人は、自分以外に何人いるだろう?」
もしかすると、ずっと探していた反則級の武器は、
まだ手に入れていないものではなく、
もう持っているのに、装備していないものなのかもしれません。
それを装備したとき、戦い方は変わります。
苦しみながら勝つのではなく、
「なんで、こんなに上手くいくんだ」
と、自分でも少し笑ってしまう。
では、
あなたが人生を高笑いしながら進んでいくための「チートアイテム」は、何ですか。
書いた人
佐藤勝美 事業設計・プロデュース
kastumi sato
豊富な知識で、想いを確かな「事業」へと着地させます。
美味しいものを飲んだり食べたりするのが好き。
飲み食いが好きすぎて飲み屋のような自宅を作りました。
美味しいものをいただきながら未来のお話を固めていきましょう。



