「ふつう」ってなんだろう 病気と健康のあいだ を読んで

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この本を読んで、私は「ふつう」という言葉の曖昧さと、その危うさについて考えさせられました。
世の中の「ふつう」に問いを持つ、哲学的な視点
ふつう、ってなんでしょう?
私は、自分自身が果たしてふつうなのか?と疑いの眼差しを向けて生きてきました。
そして、どちらかというと自分は「ふつうでない」のだと思って生きてきました。
でも、それの理由ははっきりとは分かりませんでしたし、特に突き詰めようとも考えたこともありませんでした。
実際は私のことを「変わってるね」という人と、「ふつうだね」っていう人は半々です。
見た目はまるで「ふつう」だし、どちらかというと普通なのかもしれません。
でも長く話すと「変わってる」といわれることも、言われないこともあります。
つまり、私の感覚と外の感覚は、それくらいずれていたのです。
けれども今思えば、ずれていたのは私ではなく、「ふつう」のほうだったのかもしれません。
「ふつう」という基準はあまりにも曖昧で、
人それぞれの常識や価値観によって、いくらでも形を変えてしまうものだからです。
だから、この本に惹かれたのかもしれません。
でもこの本の切り口は意外なところでした。
この本は「ふつう」ということを「病気」という視点から考えていたのです。
健康であればふつうなのか?じゃあ、健康、という状態はどんな状態なのか?
そんなこと考えたことありませんでした。
健康であればふつうなのか?では病気ってどんな状態なの?
本書では、「病気」は単なる身体の状態ではなく、社会や時代の価値観によって「発明」される側面があることが語られていました。
この考え方に、私は強い衝撃を受けました。
たとえば、ある時代や社会では問題とされなかったものが、別の時代では「病気」として扱われることもあるという点です。
ここで私は、「ふつう」というものは決して固定されたものではなく、
社会の中でつくられているものなのだと気づいたのです。
この本は、その「ふつう」に当てはまらないことを理由に、
人が「生きづらさ」を感じてしまう構造にも、改めて目を向けるきっかけをつくってくれました。
また著者は、医学を否定しているわけではなく、むしろ医学の重要性を認めたうえで、「病や障害とともに生きる」という視点の必要性を提示しています。
このバランスの取り方にも、私は共感しました。病気をなくそうとする努力と、病気とともに生きることを認める視点は、どちらも大切なのだと思います。
私は日常の中で、「これはふつうなのか」「これは正しいのか」と無意識に判断している場面が多くあります。
しかし、本書を読んでからは、その判断自体を一度立ち止まって見直してみたいと思うようになりました。
それが、自分自身や他者の生き方を、より豊かに理解することにつながるのではないかと感じました。
この本は、「ふつう」に違和感を覚えたことがあるすべての人にとって、
自分の見ている世界を少し広げてくれる一冊だと思います。


