音声と文字で解説するので、お好みの方でどうぞ!!
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こんにちは!チェカンノです。
今回ご紹介する本は、燃え殻 さんが書かれた、『明けないで夜』です!
amazonさんが私の購入履歴からおススメしてくれて、面白そうなので買いました。
「夜」をテーマにしたエッセイ集。心を静かに揺さぶるエッセイが24本。あと日記やおまけの文章も掲載されています。
エッセイなので作者の人生観も文章に漏れているのも好みでした。
ちょっぴりノスタルジックな配色。昭和を感じさせる表紙カバーです。
心を静かに揺さぶる、エッセイ集
人生の中で誰しもが冷静に「消滅」と「再生」を繰り返しています。
本作を読んでいると、誰かの人生を遠巻きに眺めているような感覚に陥りつつも、いつしかその「誰か」に自分自身を重ねてしまう不思議な読後感があります。
燃え殻さんの文章は、詩的でリズミカルです。
一見すると淡々としているようでありながら、その内側には深い感情の流れが秘められています。
作品全体に漂う、「色っぽさ」そしてねっとりとした「苦悩」
燃え殻さんの文章には余韻があります。全てを語らず、読者の想像力に委ねる感じです。
この余韻が大変色っぽいな、と私は感じました。「色っぽさ」とは、ただ艶やかさや機能的な雰囲気を指すだけではありません。
手法が、「色気」を感じさせるのです。
「明けない夜」とは、沈黙時間として夜を指すだけでなく、人生における困難や暗い、あるいは出口の見えない苦悩を象徴しているように感じました。
誰しもが人生の中で一度は経験する、どうしても超えられなそれが「夜」として描かれているのです。
痛快に、いつか希望に満ちて描かれている点に、読者として深い共感を覚えました。
特に印象的だったのは、登場人物たちの会話や行動に見られる絶妙な「間」の取り方です。
例えば、会話の中に紛れ込む沈黙や言葉の裏に隠された本音。ふと、登場人物の不安や切なさ、期待が見え隠れします。
そして、そのような緻密な描写が、ただの「日」これは燃え続ける殻さんの文体が持つ色っぽさの核心の部分ではないでしょうか。
読者に解釈の考えを与え、登場人物の感情を想像すること自体が作品との対話となる――そんな体験ができるのは、燃え殻さんならではの筆の力です。
闇を無理やり光にせず、闇を持ちながら生きていく
物語の中で描かれる「夜」の持つ重さや苦しさは、読者自身の人生の中にある「夜」にも呼び掛けられます。
その光は、人とのつながりだったり、細やかな日常の美しさだったりします。
そして、その光に気づくことができた瞬間、物語を持つ「色っぽさ」は一点感情の揺れ以上のものとなり、人生を耐えるための想像をするようになります。
本作で語られる「色っぽさ」は、感情や雰囲気だけでなく、「人間の弱さ」も含まれております。
一時的に特別なものではありません。
しかし、それを受け入れつつ、一歩ずつ歩みを進めていく姿に、人間の美しさと強さが感じられます。
その美しさは一時的に完璧なものではなく、不完全で不器用な姿にこそ宿っています。
燃え殻さんの文章はとても「人間らしい」ものだと感じました。
また、作品に感じたのは、「夜」を恐れるだけではなく、その中に潜む静けさも大切にしています。
本作では、主人公や登場人物それぞれの「夜」をどのように受け入れ、乗り越えていくのかが丁寧に描かれています。
心にも静かな勇気を与えてくれるのです。
私の「夜」はなんだろう?
本作を読んだ後、自分の生活の中にある「夜」をじっくりと見つめる機会を得ました。
人間関係の問題、将来への不安、過去の後悔――誰しもが「明けない夜」を迷っています。
しかし、その夜を越えるために必要なのは、無理に光を求めるのではなく、闇の中にある微温もりや、ささやかな希望を見つけること。
この作品は、その「闇との付き合い方」を教えてくれるような気がしました。
普及的なテーマを扱いながらも、独自の視点と文体で描き出す世界。
『明けないで夜』は、読み後に深い余韻を残して、夜の静寂の中で光を探し続けるような読書体験を与えてくれるはずです。
短編なので読みやすく、ベッドのお供にもグッドでございます。
それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました!
チェカンノでした!またね♪