音声と文字で解説するので、お好みの方でどうぞ!!
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こんにちは!チェカンノです。

今回はクノタチホさん著の「コンプルックス」を紹介します。
これは「自分の見た目にコンプレックスがある」主人公たちの物語です。

このお話では、主人公たちが自分の外見を通して身につけた考え方や心のうちと向き合い、成長していく姿が描かれています。

チェカンノ

わたしもビジュアルを扱う仕事なので、なんだかんだで見た目はこだわっている節はあります。
気にしない、と口では言いますが、友人に言わせると「めちゃくちゃ気にしてる」そうです。

もしも、「今すぐ美人」になれたら?

この物語では「ナルシスの鏡」という鏡が出てきます。

どんな鏡なのか本文の中に説明があるので、抜粋します。

一見、何の変哲もない鏡。
しかしそれは容姿に絶望した人が覗くと
一瞬で、誰もが振りむく姿になれるという
不思議なチカラを宿した鏡なのです。

ただし、その姿はあくまでも仮想現実。
そして、「66日を過ぎてもなお仮想現実の中で生きることを決めると、元の世界でのその人物の存在は消える」
といういわくつきの鏡です。

コンプルックス 本文より

「顔面に絶望している」主人公が66日後にどのような行動を取るのか、というのがこの物語の鍵になります。

ずっと欲しがっていたものが、突然目の前に現れたら?

誰にでもコンプレックスはあるもの、その中でも「見た目」という要素に注目したお話になります。

以下は、私が物語を読んだ感想です。

物語で描かれてるのは主に以下の5つのように感じました。

その1 自己認識と自己受容

主人公や登場人物たちは、自分自身の複雑な感情や過去の経験に直面します。
彼らが自分自身をどのように理解し、受け入れていくかが物語の中心テーマの一つです。自己認識のプロセスを通じて、彼らは自己受容の重要性を学びます。
コンプレックスと向き合った時、その問題とどう向き合うのか、そして、なにより自分の「現在地」を受け入れるのは本当に重要だと思います。
自分の問題点と向き合うとき、前回の二村さんの本でも沢山描かれてましたけど、「自己受容」が肝になるのだなぁと感じました。

過去ブログ>>仁村ヒトシさんの本の感想/なぜあなたは愛してくれない人を好きになるのか?

その2 人間関係の複雑さ

物語は、家族、友人、恋人などさまざまな人間関係を通じて展開されます。これらの関係性がいかに複雑で、時に矛盾に満ちているかが描かれています。
登場人物たちが互いに影響し合い、成長していく様子が描かれることで、人間関係の奥深さが浮き彫りになります。

自分をより知ろうとするには、自分の他に、他人との関係性を通して、自分という存在を知ることになります。

その3 社会的圧力と個人の葛藤

登場人物たちは、社会的な期待や圧力に直面し、それによって生じる葛藤を抱えています。
社会的な役割やステレオタイプに縛られながらも、自分らしさを見つけるための闘いが描かれています。

自分のありたい姿になるためには、必ず壁があります。そこを乗り越えるためのヒントが書かれています。

その4 過去のトラウマと向き合う

過去の出来事やトラウマが現在の行動や考え方にどのように影響を与えるかがテーマの一つです。
登場人物たちは過去の痛みを乗り越えるために努力し、それがどのように現在の自分を形成しているかを理解していきます。

自分のトラウマと向き合うにあたって、「過去の考え方の癖」を知ることは重要です。過去に向き合いその過去を受け入れることによって癒されてより今が生きやすくなります。

その5 成長と変化

物語を通じて、登場人物たちは内面的に成長し、変化していきます。
困難や試練を乗り越える過程で、彼らはより強く、より成熟した自分を見つけます。この成長のプロセスが物語の大きなテーマとなっています。

自分の現在の位置を知り、過去を癒すことによって、将来どうして行きたいかが明確になるのではないか。

感想 その現象が起こっていることに自分なりの結論を

この本を書いたクノタチホさんは、女装家でセラピストなのだそうです。
個性的な人生を歩んでる方は、波瀾万丈な人生を歩んでいる場合が多い・・・ですね。
やはり彼女(彼?)も、色々な過去があって女装家に行き着いたようで、例外ではないようです。
人生において、苦労しながら経験を通して学んだことが作品のヒントになっているのだと思います。

カバーに作品のキーになる「鏡」が使われていて面白いです。
表紙のイラストはアングラ演劇を彷彿させて個人的にちょっと萌えます。

私、寺山修司さんのお芝居とかちょっとアングラ気味なのが実は好きなんです・・・・
(あ、誰も聞いてないっすね!)


「コンプルックス」を読んでわたしが考えたこと。

「見た目」から浮き出る自分の問題に向き合う。


この物語のテーマはいわゆる「ルッキズム」
見た目が与える自分や他人への影響なんですよね。
この物語では「ブス」という言葉がものすごく沢山出てくるんですよね。
日常会話で「ブス」って言葉そんなに使わなくないですか?
一生分ぐらいの「ブス」って言葉が出てくるのです。

他人からも言われてるのですが、それ以上に自分で自分に「ブス」って言ってるんですね。
自分が一番自分を傷つけている、そんなことを思いました。そして、自分でつけた傷って、自分が思っているより痛いんですよね。

人間は傷つく機会もたくさんある。
でも、その傷を深くするのも浅くするのも自分自身で、好みでその傷の深さは変えられる、ということ。

この物語の主人公は「顔が醜い」ということで絶望するほど悩んでいたけれど、極端な話、「絶世の美女」になっただけでは同じ悩みを持ち続けてしまう。
自分にとって、幸せな人生をイメージして、人生をクリエイトする必要があるのだなぁ、と思いました。

このコンプルックス、という小説は「小説」という表現方法ではあるけれど、内容は自己啓発書に近いです。
自分の容姿に悩んでいる方、容姿にこだわってしまう方。人生のヒントになるかもしれません。

それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました!
チェカンノでした!またね♪

音声解説「コンプルックス」

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